「声を上げられない人もいる、だからこそ連帯感を」駐日フランス大使が日本のLGBTへ伝えたいこと

世界で同性婚が認められている国は24ヵ国。そのうち半数以上がヨーロッパの国々だ。フランスでは、1999年にPACS(民事連帯契約)そして、2013年に同性婚が可能となった。

ヨーロッパ諸国のうち、同性婚をはじめLGBTをめぐる権利についてはEUの影響も大きい。

「フランスも同様です」と話すのは駐日フランス大使のローラン・ピック氏。フランスのLGBTを取り巻く社会の動きを振り返り、日本社会に対する思いを語った。


ローラン・ピック駐日フランス大使。1964年8月2日、パリ14区生まれ。パリ政治学院を卒業後、フランス外務省入省。各国のフランス大使館やEU、国連勤務を経て現職。


EUが加盟国に対して国内法を整備するよう指示する「EU指令」では、2000年のEU雇用一般均等指令で性的指向による差別を禁止し、2002年に改正されたEU男女均等待遇指令で、トランスジェンダーの差別禁止を打ち出している

これらを受けてフランスでは2008年に差別禁止法が制定され、雇用領域における差別の禁止に性的指向が盛り込まれる等、法整備が進んだ。

「どうしても社会の動きに法律は遅れをとってしまいます。とはいえ、社会が大きく変化するきっかけとなったのは、やはりPACSやみんなの結婚(同性婚)だと思います」とピック氏は話す。

「包括的な枠組み、ルールを作ることで解決できる問題が多くあります。その際何事にもですが『平等』を求めることが大事です」

同性婚が議論された当時、約15万人の反対派デモも行われたという。 ピック氏は「確かに当時はさまざまな議論がおきました。しかし、最終的には同性婚はフランス社会が求めていることを証明しました。さらに現在では、異を唱える人はもはやマイノリティになっています」

「LGBTに関する権利について反対する人たちは『文化が違う』と言ってくることがありますが、すべての大陸でLGBTは存在します。その国の文化や歴史、政治的背景はありますが、ある社会の特殊な現象ではないのです」

「フランスに『パンテオン』という偉大な人が亡くなった後おさめられる教会がありますが、先日そこにある政治家がおさめられました」。

その政治家の名前は「シモーヌ・ヴェイユ」。アウシュビッツからのの生還者であり、女性の権利運動に貢献し、1975年の「中絶解禁法」を成立させた人物だ。

「(中絶解禁法は)当時は本当に大変なことで、批判も大きかったです。本人や親が非難されたこともありました。しかし、今ではフランスの偉人として迎えられたわけです。やはり物事というのは少し後になってその真価を問われるのだと思います」

ピック氏は最後に「常に平等に向けて、私たちはこれからも前進をし続け、権利を守っていかなければいけないと思います」と話す。

「(日本のLGBTの人々に対して)まずは自分らしくあることを恐れないでほしいと思います。自分の人生を大切に、自信を持って生きていってほしいと思います。

そして、何よりもお互いの連帯感を大切にしていただきたいと思います

時として権利を得るためには、自分たちで声をあげなければならない時もあります。ただ、声を上げられる人もいればそうでない人もいる。だからこそ団結力を持って生きていただきたいと思います。

理想的な世の中があるとすれば、それは性的指向や性自認といったものがそもそも判断基準にならない社会です。

まだまだ道のりは遠いと思いますが、私たちはこれからも歩み続けなければならなりません」



プロフィール
1994年愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。一般社団法人fair代表理事。オープンリーゲイ。LGBTを理解・支援したいと思う「ALLY(アライ)」を増やす日本初のキャンペーンMEIJI ALLY WEEKを主催。

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SoshiMatsuoka • 2018-10-26


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